こんにちは人事の夏沢です!
企業人事が本音と現実を書くことを本旨としている当ブログ。
筆者は企業人事として採用や人材育成、人事制度の構築など総合的に実務に携わって来た人事部門マネジャーです。
綺麗ごとや理想論が語られやすい人事界隈なのですが、実務を理解している企業人事の管理職の視点で様々な本音と現実を書いております。
社会人2年目の憂鬱。会社を辞めたいと思ったときに読んで欲しい本稿
新卒入社の方が社会人になったことによる環境の変化で体調を崩してしまったり、メンタルが不調になったりするケースは珍しくありません。だからこそ新入社員のケアなどについては話題にもなりやすいのですが、今回は新卒入社後2年目のあなたに向けての記事です。
実は人知れずに苦労している社会人2年目の方が、仕事を辞めたいと思った場合どうするのがよいのかについて書いて企業人事の筆者が書いて参ります。本稿の後半ではその解決案もご提示いたします。
社会人2年目になって振り返ってみると新卒1年目はどうでしたか
社会人2年目というのは、新卒入社後1年が経過した方ということですね。この1年はいかがだったでしょうか。
社会人1年目の感想
あっという間だった
順調に社会人としてのスタートが切れた
苦しくて長い1年だった
何度も辞めたかったけど何とか1年は我慢した
同じ1年でも色々ありますね。
正直、社会人としての生活1年目の中で楽しいと思えることがあったなら御の字、多くの場合はつらいことだったのではないかと思います。
なぜなら大体の場合、新入社員は雑用の様なことをやらされるケースが多いですし、仕事というよりは前半は研修だったり、教育を受ける立場だったと思いますし、何をするにもまずは「教えてください」という姿勢で臨まねばならなかったはずだからです。
そんな日常に多少なりとも楽しさを見いだせれば良いですが、やはり多くの場合はつらい立場だったと思います。
社会人2年目で仕事を辞めたいと思う理由
社会人2年目で仕事を辞めたいと思っている方の中でも理由は様々だと思います。
社会人2年目で辞めたい理由
仕事そのものが向いていない
仕事の環境が厳しい
仕事の内容が難しい
仕事が楽しくない
人間関係に問題がある
他にやりたいことが出来た
職場環境がブラック
新卒で入社直後であっても退職をしたくなることはありますが、2年目の方は少なくとも1年間はその職場の環境で様々なことを経験してきた訳ですから辞めたい理由もある程度は明確になっているはずです。
重要なのはその理由がはたして社会人2年目のあなたにとって本当に辞めた方が良い理由なのか、それともせっかく1年頑張ったのだから辞めるとしても今ではないのかということについて企業人事としての本音を書いてみます。
今の立場にどれだけの納得性があるか考えてみよう
現在の会社にどれだけの納得性があるのかから考えることをお薦めします。
どこの会社にいても100%満足という環境はありません。1年間今の会社を見てきてどれくらい納得性がありましたか。
納得性は人により異なります。例えば、待遇を重視する場合はこの1年間実際に初めて給与や賞与というものをもらってみてどうだったか、仕事の内容を重視する場合はこの1年間実際に業務を遂行してみてどうだったかなど、自分が納得性を求める尺度は異なります。代表的な尺度について見てみましょう。
待遇編
就活の際にきっと初任給や諸手当は多くの方が気にしたのではないでしょうか。
実際に社会人として1年間過ごしてみるとご自身の年収がはっきりとわかり、それに伴う生活の質がわかってきます。
この1年間の待遇や生活の質は想定通りでしたか?それとも想定と違いましたか?
違ったとすれば許容範囲内ですか?どうしても待遇面に納得がいかずに社会人2年目で仕事を辞めたいと思っているあなたは今後求めていくことが明確です。つまり転職で待遇アップを狙って行く必要があります。
しかし、現実的な事を書くと社会人経験1年で待遇を大幅アップするのはなかなか難しいですよね。
それを可能にするとすれば業界そのものを変えるというのがひとつの選択です。
年収というのは業種によって概ねのレンジがあります。例えばマスコミや金融やコンサルは高め、流通や小売やサービス業は低めなど平均人件費のレンジがある程度あります。
もし今身を置く業種が平均年収が高くないということであればまるっきり業界を変えてしまうことで待遇は大幅にアップさせることも可能です。
経験もないのにそんなことが出来るのかという心配もありますが、逆に中途半端な年齢になると異業種や未経験は厳しくなります。
明確に業界を変えようという意思があるのであれば第二新卒として転職が出来るうちの方が業界の変更はしやすいと思います。
それでも明確な志望動機やポテンシャルを上手に伝えるための努力やテクニックは必須になります。
仕事の内容編
社会人2年目の方が仕事を辞めたい理由が仕事の内容である場合、1年間仕事をしてきた上での判断なのである程度説得力があります。
一方、1年という短い期間で判断をしてしまっていいかという考え方もあります。
つまり1年をどう見るかです。
1年あれば1シーズン通してその仕事がどのような流れで進行するのかや季節的な繁忙など色々経験することはできたと思います。
しかし、1年目で重用な仕事を一任される可能性は低いと思うのでこの1年で経験してきたことが自分に合わないからといって辞めてしまっていいのかというのは悩ましい所です。
1年は長い社会人生活の中では短い単位かもしれませんが、自分に合わないのではないかという迷いや悩みを抱えながら働くには長い期間です。
きっと社会人2年目にして仕事を辞めたいと考えている方にとってはこの1年はとても長かったのではないかと思います。「たった1年で辞めるのか」という人もいるかもしれませんがご本人にとっては大変な心労のあった1年だったと思いますから1年での退職検討が早計とは限りません。
仕事の内容が合わないことで辞めようと考えている人に企業人事としての本音を書きます。
ご自身の損得で考えてみましょう。どうするのが自分にとって得なのかということです。
新卒で入社した方は特に慎重に現在所属する企業や環境面を把握しましょう。というのは転職が当たり前になってきているとはいえ中途採用比率がとても低い企業というのは実は多いです。
日本の大企業はいまだに新卒一括採用が中心です。理由は、新卒一括採用でポテンシャルが期待できる人材を複数名確保し、各世代ごとに人員を確保することが将来の組織形成にもつながり、人材育成やキャリア形成も描きやすいというメリットがあるからです。
採用の仕方や働き方が多様化していますが、正直まだまだ新卒一括採用が中心です。
そして大企業になればなるほど新卒一括採用以外の門戸は狭いです。経験者採用で入れないことはありませんがそこはポテンシャルの世界ではなく、実績や専門知識といったスペシャリストの世界に近づいて行きます。
そして一般的には大企業の方が待遇や人材育成、仕事内容など総合的に恵まれているケースが絶対に多いです。新卒で大企業に入社方でもやはり短期で退職する方は決して珍しくはありませんが、後から元の環境に戻りたいと思っても困難になる場合が多いのでそこはご自身の損得という観点からも慎重に考えてみることをお薦めします。
今はつらくても我慢することで解決できる面も出てくると思います。結果的に現在の環境に残っておいた方が得だったという結論は充分あり得ます。
職場環境編
社会人2年目の方が仕事を辞めたい理由が職場環境である場合、その環境が早期退職を判断する程の劣悪な環境かどうかという判断をすることになります。
難しいのは他社の環境と比較することが出来ないこと。他社の環境は噂や口コミくらいでは確認できると思いますが結局本当のことは入社してみないと分かりません。
自分が身を置く環境が本当にブラックなのか、どう考えてもおかしいのかを客観的に判断する必要があります。
方法はご家族や仲間に現在の状況を伝えてみることです。
つまり自分からは見えていない環境で働いていたりする別の誰かに間接的に比較してもらうのです。出来れば複数者がいいですね。
またご家族のうちご両親や兄姉は一番信頼できるだけでなく社会人としても大先輩です。はずかしいと思う方もいるかもしれませんが、ご家族は常にあなたの味方です。
周囲の人に聞いてみた結果、もしかしたら1年間就業してきた環境がとんでもないブラックだったと気づくかもしれませんし、逆に厳しいと思っていたのはご自身だけで他社も同じ様なものだなと感じるかもしれません。
客観的な把握というのはそういう意味でも必要です。
社会人2年目の選択肢
社会人2年目で会社を辞めたいと思っている方は、まず1年間頑張って続けてきたということには誇りを持ちましょう。
たった1年、されど1年です。
企業人事の立場でいえば新卒入社後、仮に1週間や1ヵ月で辞めましたという人と1年で辞めましたという人を比べて場合、これは決定的に評価が違います。
1年は社会人生活では長い期間ではありませんが、少なくとも1シーズンは通して就業してみた結果出した結論が退職だった訳ですから、そこには一定の説得力があると思います。ただ、2年目の社会人は1年頑張ってきたのだから辞めたければそれが良いという意味では決してありません。
早期退職には早期退職なりの苦労が付きものだからです。
現在は、第二新卒という新しい区分もあるので恵まれているとはいえ、やはり本来の新卒採用と本来の経験者採用の間に位置することになるため望ましい転職結果が出ない可能性だって考えておかねばなりません。もし絶対にその会社に長く勤めることはないということであれば第二新卒の枠で就活できる早めのタイミングで辞めるのがいいとも言えます。
一方、多少なりとも今の会社に気に入っている部分もあって新卒の就活時に志望して入社した会社であるならばもしかすると長く勤めることであなたにもメリットがあるかもしれません。
新卒採用で入社してきた社員はその会社で大切にされていくことも少なくありませんから、2年目で重用されることはなくても中長期的に見れば組織形成の中核を成すのは結局新卒入社で入ってきた生え抜きということも珍しくありません。
結論
社会人2年目で会社を辞めたいと考えている方が、上記の様なことも踏まえて悩んだ結果、やはり辞めたいという思いが変わらなかった場合、最後にここだけ検討して見てください。
「あと1年頑張れるかどうか」
なぜかというとあと1年頑張ると社会人3年目。一般的にここまでは第二新卒の枠内です。
つまり、あと1年社会人としての経験も積むことが出来るし、あと1年今の会社の環境面を把握することが出来ます。
それでもやっぱり会社を辞めたいという気持ちがブレなければ今度は躊躇なく辞めましょう。
なぜなら第二新卒の対象でなくなってしまうから。悠長なことは言ってられません。
つまり社会人3年目を現在の仕事や会社環境を見極める1年にするのです。
結果、もしかすると社内で担当する業務が変わって面白さが出て来たり、出来ることや裁量が増えて少しは楽しいという思いが生じている可能性もあります。
逆に2年目と同様に仕事が合わないと感じたり、辞めたいという思いが募るだけであれば逆にその1年で早期退職を決断するための1年として機能します。
体調崩している場合は話が別
最後にもし社会人2年目の方で会社を辞めたいと思っている場合ですでに体調面に変化が出ている場合これは話が別です。
健康面を害する程に無理しては絶対にダメです。健康面に異常を来している場合、正常な判断が出来ているかも分かりませんのでお薦めは人事への相談です。
やりづらいと思うかもしれませんが、まず会社内の人事担当の中で比較的信頼できそうな人物に相談しましょう。
人事であれば社員の健康面や安全配慮については知識を持っていますし、不利益になるような取り扱いは原則しません。
体調面の回復を図りながら退職のこと、転職のことなどをゆっくり考えてみるといいと思います。