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人事の本音

東京五輪組織委員会による密室人事を企業人事が書いてみる

東京五輪組織委員会密室人事

こんにちは人事の夏沢です!

人事にまつわる様々なことを書かせていただいておりまして、人事の本音、人事の舞台裏、給料や出世のポイントなどについて長年にわたる企業人事の経験という観点でブログを書いております。

さて、今回は「東京五輪組織員会による密室人事について」という内容です。

森前会長の発言が女性蔑視と批判を受け、結果的に橋本聖子氏が後任の会長へ。その決定プロセスで密室人事が話題になりました。

企業内でも人事は密室で行われるケースがほとんどです。なぜか?

企業人事の視点で密室人事について書いてみたいと思います。

密室人事の必要性を企業人事の観点で考える

東京五輪の大会組織委員会会長の人事が話題になりました。

色々な経緯や報道があり、森前会長の後任は橋本聖子会長に決定しました。

この一連の騒動の中で「密室人事」とい言葉がよく出て来ました。

つまり、限られた関係者のみが閉鎖的な空間で重要な人事を決定することはいかがなものかという問題提起がされた訳です。本ブログは企業人事による本音と現実を本旨としています。今回は、東京五輪の大会組織委員会会長決定の過程で話題になった「密室人事」について企業人事の視点で書いてみたいと思います。

大会組織委員会会長人事の決定までの過程を振り返る

企業人事における「密室人事」について書く前にそもそも今回密室人事が話題になるキッカケとなった組織委員会会長決定についての大まかな流れを振り返ってみます。

2021年2月3日

JOC評議会で当時組織委員会の森会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間が掛かる」という主旨の発言。これが女性蔑視と取れると国内外から批判を浴びる。

2021年2月4日

森会長が記者会見を開く。発言を撤回し謝罪したものの組織委員会会長については続投の意向を示す。引き続き国内外からの批判は止まず。

2021年2月9日

国際オリンピック委員会が森会長の発言について「完全に不適切」と非難。

2021年2月11日

ココ!密室人事!

森会長が辞任の意向を固め、川渕三郎氏を後任指名。

2021年2月12日

後任指名が透明性を欠くと批判の声が多く上がる。川渕氏会長就任を辞退。

森会長辞意表明(同日付けで辞任になっていたことが後で分かる)。

大会組織委員会は後任の会長選定のための「候補者検討委員会」を設置。

2021年2月17日

ココ!密室人事!


候補者検討委員会が数回にわたり開催され橋本聖子五輪相を候補者として一本化。

2021年2月18日

大会組織委員会の理事会で決議。

全会一致で橋本聖子氏の会長就任が決定。

2回の密室人事

橋本聖子氏が新会長に就任するまでに密室人事として指摘された出来ごとが2回発生しました。

1回目

森会長が辞任意向を固め、後任として川渕三郎氏を指名したとき

これはかなり強い批判を浴びました。そもそも失言により国内外から批判を浴びてしまった森会長に後任を指名させることが不適切だという思いによるものだと思われます。民意により不適切を突き付けられた森会長が当たり前のように後任を指名するという動きでしたので、当然多くの人は納得しません。川渕三郎氏への後任打診はまさにいつの間にか行われたものだったので密室人事としての批判を受けました。

2回目

候補者検討委員会による議論

密室人事の批判を受け、川渕氏は会長就任を辞退。ここで後任会長の選定について「透明性のあるプロセスにすべき」として大会組織委員会により候補者検討委員会が設置されます。透明性確保とは裏腹に当初8人のメンバーや内容、開催日時も非公開とされ、新会長決定後にメンバーと選考過程を公表するとのことでした。結果的にメンバーは開示されたものの2月16日から3回行われた会議はいずれも非公開でした。つまり、候補者検討委員会も少なからず密室人事とも言える動きとなりました。

密室人事の批判を回避

候補者検討委員会の透明性の確保が指摘されている中で、検討委員会がどんな議論を行うのか、新会長に求める資質や適性をどう定義したのかなどは開示されませんでした。

このあたりは国民の不信感がややあったとは思いますが、新会長に就任した橋本聖子氏本人が候補者検討委員会の内容非公開を提案した1人だと明かし「スポーツ界や政界からさまざまな形でメンバーに圧力がかかるのは間違いないと思った。本音で自分の考えを述べられる環境を作ることが大事だと考えた」と述べたこともあり密室人事としての強い批判を浴びるには至りませんでした。

人事は密室で行われる

企業での人事はどうでしょうか。

正直、密室で行われます。

ちなみにここでいう人事とは配置換え、昇格、昇進を指します。つまり、社員の所属を異動させることや出世させるという会社員にとっての一大イベントが密室で議論され実質決定されていきます。

筆者は、企業人事としての密室での議論や検討が業務の一部になっているので慣れっこですが、若かりし頃はそんな議論の末端に加わりながら「え、そんな話をするの」とか「こんな感じで決まるの」とドキドキしたものでした。

人事はなぜ密室で行われなければならないのでしょうか。

人事が密室で行われる理由

人事異動は良い理由だけではない

僅差の実力差

納得性を欠く理由

良い意味で「君以外いない」、悪い意味で「君以外いない」

忖度

人事異動は良い理由だけではない

人事異動の議論が常に社員を評価し、褒めて、その結果として栄転させたり昇格させたりできればいいのですが、人事異動の理由やキッケケというのは良いものばかりではありません。

業務遂行能力が足りないから別の業務をさせなくてはならないケースや不祥事をキッカケとした配置換えなどマイナスの理由による人事異動はいくらでもあります。

そうしたときに密室でないと「Aさんは能力が足りないので簡単な仕事が多い部署に移そう」とか「Bさんは不祥事を起こしたので今の場所には置いておけない」なんていう議論が会社の末端まで知れ渡るようなオープンな場で出来る訳がないのですね。

僅差の実力差

同期で入ってきた社員もやがてはどこかで差が付き始めます。みんな一緒に仲良く横並びで出世なんてありません。

実力が高い方を出世させればいいのですが、明確な差まではなかったり、極めて感覚的な差程度しかない場合もあります。

そのような場合、総合的にいろいろな議論がされつつ決定打がない中でどうしても決めなくてはならない。結果的に選定されて出世した方はいいですが、落選した方はどうでしょうか。決定までの議論を聞いていて僅差、しかも定性的な差で敗れたとしたらモチベーションを保てるでしょうか。ブラックボックスになっている方が都合がいい場合も実際にはあります。

納得性を欠く理由

会社の中での昇格は平等ではありません。会社員の方で自社の人事異動、特に昇格や昇進と呼ばれる出世にまつわる人事が「完全に平等で適切で全員が納得です」と思っている人っていないと思います。つまり、みなさんどこかで納得性に欠く部分を感じている。

例えば、昇格が実力ではなく組織の都合である場合なんかは良い例かもしれません。

AさんとBさんは全く同じ評価。次の部長候補として誰もが認める社員。しかし、組織の都合によりAが所属する部署の部長ポストが空くことになった。当然Aが部長になります。この時Bも部長に出来ればいいのですがそうはいかない場合もある。Bにとっては納得性を欠くでしょう。Aの昇格の理由は実力ではなくポストの空いたタイミングが早かったに過ぎないからです。しかし、そこは密室人事で議論され、総合的に判断した結果Aが部長に昇格するにふさわしいと判断されたということになります。Bはこれでモチベーションが下がってしまうか、会社の都合なのでしょうがないと承服するのかは、人によりパターンが分かれますがこのような例以外にも納得性を欠く会社都合の人事なんていくらでもあります。

良い意味で「君以外いない」、悪い意味で「君以外いない」

良い意味で「この人物以外に出来るものはいない」という理由で新しい部署に異動となったり昇格したりというケースがあります。

一方、「適任が誰もいないのだけど、強いて選ばなくてはいけないのならこの人くらいしかいない」という消極的な選択のケースも全然あります。

誰を配置しても大差のない、つまり重要視されていないポストに人を配置しなくてはならない場合なんかは、Aは良くやる、Bも頑張っている、Cは評価も大したことないし現職からはずしても業務上支障は出ないから異動させる候補はCしかいない、なんていう議論も現実的に全然あります。やはり密室人事でないとこんな議論は出来ません。

忖度

人事上で忖度は良い言葉ではないですね。しかし、本音と現実があるじゃないですか。政治絡み、その他権力者絡みでコネ入社なんて未だにいくらでもあります。当然、人事異動でも忖度せねばならない人物だっている場合があります。人事異動の理由が忖度だなんて密室人事でないとまかり通りません。

密室で決まった人事の活かし方、伝え方

多くの会社員にとって人事異動は一大イベントなので理想論を言えばオープンな議論に基づき全ての社員が納得できるものにすべきです。

しかし、他人の集まりである会社、つまり巨大な組織の中にあっては完全な納得性を得るというのは困難です。透明性があれば解決するかというとそうではなく、良かれと思ってオブラートに包んでいたり、ブラックボックスになっているケースもあります。世の中知らない方が良かったということはあります。

人事異動は密室で行われますが、重要なのは決定事項の活かし方や伝え方です。

本当に良い理由による人事異動であれば、それはまっすぐに本人伝え、褒めて、能力を伸ばすべきです。

本当は悪い理由による人事異動であれば、本人のモチベーションなども気にしながら上手に伝える必要があるかもしれません。

不祥事などによる懲罰気味の人事異動であれば、注意すべき部分は隠さずしっかり伝えなくて是正せねばなりません。

人事異動の内容が決定する過程は密室かもしれませんが、いずれにしても理由があり決定した事項です(納得性があるかは別ですが)。密室で議論されているとはいえ誰も自社の不利益になる決定はしませんから何らかの事情と理由があります。

本音で理由が語られる人事異動もあれば、本音は隠されているものもある訳ですが、組織の維持、社員間の競争や協調といった観点から今日も人事は密室で行われるのです。

密室人事が成り立っている理由

企業人事の現実として人事は密室で行われています。

社員のみなさんだって人事にはそういう側面があることを暗黙の了解としている。ただし、暗黙の了解=納得しているということにはなりません。不納得なのになぜ密室で決められた人事がまかり通るのか。

それは人事異動の内容の検討や議論は限られた関係者間が密室で行ったものだとしても、人事異動を行う権限やプロセスがきちんと決められていて最終的に任命権者が発令するという正当な手続きを踏むからです。

つまり、水面下で決められた時点では案に過ぎない人事異動が、当事者に内示されるまでには任命権者が正式に決定した事柄になるという手続きを経ることにより「会社による決定事項」として納得性を帯びることになるのです。

人事異動は密室で決まるからこそ、検討の過程、決定権限者、発令の任命権者といったことについては社内で規定しておかねばなりません。

密室人事が主流でなくなる時代

企業における人事が密室で行われていてもそれが社内の正当な手続きと任命権によるのであれば一般社員は抗う術がありません。少なくともこれまではそうでした。

しかし、昨今は状況が変化してきていますし、今後は人事が密室で行われることがナンセンスになるかもしれません。

新卒採用で入社した社員が希望の部署に配属されなかったことが早期退職のキッカケになるケースが少なくないと言われています。

従来の職能資格制度をやめてジョブ型に変えていくことを発表している大手企業もあります。それらの企業は当然今後の採用もジョブ型雇用です。つまり、密室人事で配属するのではなく、雇用の時点で職種や業務や配属が決まることが前提の制度。ジョブ型は当初選択したジョブ以外にもチャレンジは出来ますが、それを選択するのは社員本人です。

専門職を中心に職種別採用も進んでいます。能力と専門性がある人材はそれを活かすことが出来る職種や環境を自ら選ぶことが出来る時代になって来ています。

つまり、今後は社員の働き方を人事が密室で決める時代ではないということです。

もちろんすぐに全ての会社がそうなるという意味ではなく、多くの場合、現実的には密室人事は続きます。しかし、そのようなやり方に納得が出来ない場合、ご自身の能力や選択で「自分のことは自分で決める」という道を進んでいくことも可能になって来ています。現時点では、そのような道を進むことが出来る人はまだ限られた人かもしれませんが、多くの人がそれを望むということになればやがて制度としてのジョブ型雇用職種別採用が主流になってくるのだと思います。

密室人事が批判を浴びた東京五輪組織委員会会長の交代が、企業における人事異動について考えるキッカケになったのではないかと思いました。

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