こんにちは人事の夏沢です!
人事にまつわる様々なことを書かせていただいておりまして、時に人事の本音、時に人事の舞台裏、時に給料や出世のポイントなどについて、企業人事ならではの視点でブログを書いております。
就活、転職、給与、労務などはそれぞれカテゴリーを設けておりますのでぜひご覧ください。
【筆者について】企業での人事部門を10年以上経験しています。
採用、研修、評価、給与、社保など人事系の実務は網羅。
人事についての経験は僭越ながら豊富でありますよ。
制度設計や企業合併の実務も経験しています。
さて、今回は「問題社員」」についてです!
周囲にいますか?問題社員。
そう、どこの会社にも必ず存在する問題社員についての企業人事のリアルが今回の記事内容です。
問題社員が周囲にいたり、問題社員に悩まされている方の役に立つ情報がきっとあると思います。
拝啓 問題社員殿
みなさんの周りにも多くの同僚社員がいると思います。
人が何人か集まれば性格が合う人もそうでない人も、良くできる人もそうでない人も色々な社員がいらっしゃることと思います。
今回の記事では、社員の中で頑張る人と頑張らない人がいるうち、頑張らない方、つまり「さぼる」社員についてを人事の目線で書いて参ります。
みなさんの周りにもさぼる同僚やさぼる上司、さぼる部下がいるのではないでしょうか。
自分がやるべき仕事をついさぼる人というのは必ずいます。
また、自分自身も常に目一杯やるというのは不可能ですから、ふと力を抜いていた時に他の人から見ればさぼって見えていた瞬間というのはあるかもしれません。
重要なのはその頻度やレベルでありまして、次のような事が積み重なると問題として取り扱う可能性が出てきます。
その社員のさぼりを理由として
業務上の問題が生じている
業務上の進捗に遅れが生じている
周囲の社員のフォローがないと成り立たない
自分はやらずに人に押し付ける
言い訳や回避行動に終始してとにかくやらない
口だけは出すがとにかくやらない
自分はさておき人の業務へのダメ出しはする
なぜこれらのことが積み重なると問題として取り扱う可能性が出てくるかと言うと、周囲の社員の我慢がならず問題社員に関わっている上司や同僚を経て、人事に話が回って来ます。
人事は、その内容の事と次第によっては正式な処分対象とするかを検討することになります。
さぼる程度では懲戒処分は難しい
ほとんどの企業には、就業規則の中で服務規律を規定しています。
服務規律とは社員が守るべき行動規範のことで、入社時にこれに従うことが同意されているはずです。
そんな記憶がなくても、実は雇用契約書のどこかで「諸規程を遵守する」とか「その他のことは規定に従う」とかの表現により同意していることがほとんどです。
先程例示したさぼるパターンに該当した場合、何らかの服務規律違反に該当している可能性が高いので、処分することは可能ですが、以前別の記事「問題行為からの懲戒処分」で書いたようにその処分のレベルの決め方には留意が必要となります。
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問題行為からの懲戒処分!その舞台裏とは
問題行動の内容は非常にたくさんありますし、どうしても予期していない事も起こる訳で
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特に今回題材としているのが「さぼり」ですから、なかなか懲戒処分レベルは難しいという印象です。
懲戒処分にはいたらないが不問にすることも適当でない場合、懲戒未満の軽微な処分として、訓告、厳重注意、口頭注意などを規定している場合がありますのでそれら軽微な処分を与えるというのが現実的です。
さぼる社員への対処法
ここまでは、割りと正当な手続きの流れ。
これらの処分等で「さぼり」がすっかり直るならまだマシです。
ツワモノ社員はこの程度の処分を喰らっても根本的には変わりません。
そうすると思いきった懲戒処分をしたい気持ちにもなるかもしれませんが、懲戒権の濫用と見なされるような行為は禁物です。
あくまでも就業規則や雇用契約のどこにどの程度違反しているかを客観的に判断する必要があります。
その上で厳正な処分なりをするのがベターです。
しかし、今回の記事はあくまでもさぼる社員について。
正直、さぼる程度の内容で正式に重い処分を課すことは難しいと思います。
では、どうすればいいのか。
選択肢は以下のようなところかと思います。
さぼる社員への初期対応
さぼったなりの人事評価をする
配置替え(他者に迷惑が少ない配置へ)
きちんと指導出来る上司の下におく
そしていずれの措置をするとしても必要なこととして、2点の重要ポイントを挙げます。
ポイント
さぼりの事実を記録しておく
本人に理由を説明した上で措置を行う
「さぼりの事実を記録しておく」とは、
内容がさぼりであるがゆえに周囲の実害がわかりづらい側面があるため、いつ、誰が、どのように、どの程度の迷惑を被ったのか、大小に関わらずメモなどの記録をきちんと残しておくのがいいです。
処分をしたり措置を取ったりする際の根拠として後々大変役に立ちます。
「本人に理由を説明した上で措置を行う」とは、
相手がさぼりの常習犯であり、普段から素行が悪かったりする社員だと、つい面と向かって注意したり、諭したりしづらい場合があります。
しかし、誰かが注意してあげないと本人は自分のさぼり癖や周囲への迷惑行為に心底気付いていない場合があります。
そういう意味で直属の上司は勿論、必要に応じて人事からも正当な注意を行うことを避けてはいけません。
問題社員は必ずいる。それが人事の現場のリアル
それでも直らないというケースはめずらしくありません。
注意する対象がもはや聞く耳を持たないなど、正常なコミュニケーションを取ることすら困難になっているケースもあります。
しかし、組織ではこういう社員も内包しながら折り合いを付けるという現実があり、全員がみんないい人で、全員がみんな頑張る人なんてことは、絶対にない訳ですから、組織の不条理として適正な範囲内で厳しく接していくというのが人事の現場のリアルなのです。
先程書いた日々の記録の中で、いずれ決定的なコンプライアンス違反などが出てくれば、その時はその社員に覚悟させることも出来るかもしれません。