こんにちは人事の夏沢です!
人事にまつわる様々なことを書かせていただいておりまして、時に人事の本音、時に人事の舞台裏、時に給料や出世のポイントなどについて、企業人事ならではの視点でブログを書いております。
就活、転職、給与、労務などはそれぞれカテゴリーを設けておりますのでぜひご覧ください。
【筆者について】企業での人事部門を10年以上経験しています。
採用、研修、評価、給与、社保など人事系の実務は網羅。
人事についての経験は僭越ながら豊富でありますよ。
制度設計や企業合併の実務も経験しています。
さて、今回は「働き方改革」がなぜ法律を整備してまで推進されることになったのか。
この記事を読むと昨今話題の「働き方改革」の本質がわかると思います。
ぜひご覧ください。
働き方改革がなぜ必要になったのか
働き方改革という概念が生まれ、関連する法律も順次施行されていますね。
このブログでは、長年にわたる企業人事の仕事経験に基づいた人事の本音や現実を書いていくことを主題としていますので、働き方改革とは何かという基本的説明は最小限にしますが、記事の冒頭ということで働き方改革の定義には触れておきます。
「働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択出来るようにする改革」と厚労省で定義されています。
今、このような議論や法的な整備が行われるのは、結局長い間あたり前と思われていた会社員としての働き方を改革すべきタイミングになったということです。
あたり前と思われていた、いわゆる既成概念と化した会社員としての働き方とはどんなものでしょうか。
あたり前とされてきた会社員の働き方
新卒で入社してそのまま定年まで勤める
正社員が中心で契約社員や派遣社員の有機契約社員は働き方や待遇に多くの制限あり
男性社員が要職の多くを占める
育休を取るのは女性社員
所定労働時間7時間から8時間に加え残業も発生
プライベートより仕事の優先度が圧倒的に勝る
在宅ワークなんて原則認めない
副業なんて原則認めない
他にもたくさんありますが、いずれにしても上記の例は少し前までならほとんどの企業に必ずあった既成概念です。
これらの考え方を改めねばとなったキッカケは色々ある訳ですが、筆者としては以下のポイントが大きいのかなと考えています。
働き方を考えることになった代表的キッカケ
・労働人口が減ることが分かっている
・ICTにより物理的な会社や組織の概念が変化していく可能性大
一つずつ補足しますと、
労働人口は減ることが確定
「労働人口が減ることが分かっている」というのは、超少子高齢化社会になることがほぼ確定的になっていることによります。
つまり体力的に最もバリバリ働ける世代が今後は充分に確保できなくなることが分かっている訳ですね。
それであれば別の切り口で働き手を確保するしかない。なので、法律を改正して長く働けるように定年年齢を高めたり、女性社員が出産後復帰しやすいように育休延長を最大2歳までにしたり、外国人就労の受け入れ政策が進められたりしてきました。
組織の概念が変化していく
「ICTにより物理的な会社や組織の概念が変化していく可能性大」について。
これまでは出社して自分のデスクがあって、自分のPCがあって、職種によっては社用車やその他会社から貸与される物品も使用しながら業務を行ってきました。
ネット技術の進展により、今となってはほとんどの業務でネットを利用していて、PCとスマホがあれば場所は限定される必要がないということが分かってきた訳です。
ネットにより物理的な移動時間や無駄な会議体もなくなる訳で、労働時間の概念が変わって行きます。
これを後押ししないと、若い世代の多くは会社員という働き方そのものを選択しなくなる可能性があります。
クラウドソーシングやギグワークを含め、SNSを活用した新たな働き方や価値の創造の仕方やその選択肢も多い世の中になりましたので、企業に属する会社員だって多様な働き方が出来るんだよという内容にしておかないと、労働人口が減る上に会社員の成り手が減れば、これまでどおりの国の経済規模や活動の維持が困難になる可能性があります。
フリーランスの働き方程の自由度はなくても会社員なりの多様な働き方で自由度を高めようという試みな訳です。
会社員が自由を手に入れたら・・・
実は、会社員が自由度を手に入れたら結構いいと思います。
会社員って、働き方の選択肢としてはありふれていて、組織に組み込まれて、自由度は低くて、決められた時間に決められた場所で、命じられた役職や役割で業務に取り組んでと、魅力が薄く語られる場合が多いですが、一方、普通の個人が会社という単位で動くからこそ大きな価値を産み出せたり、なんだかんだで安定性があったり、それなりに出世すればそれこそただの会社員でも結構な給料を当たり前のよう毎月もらえたり、厚生年金や福利厚生まで含めておいしい部分もあるんですね。
それに加えて自由を手に入れたら・・。
働き方改革のひとつのゴールとして本当に会社員が多様な働き方が出来るようになり、次のような状態が会社員の当たり前になったとしたら。
こんなことが会社員のあたり前になったとしたら・・
・残業は基本発生しない
・年次有給は全消化
・夏季休暇や年末年始など年に複数回の長期休暇取得
・業務は二の次でとにかく家族やパートナー優先
・勤務時間はフレキシブルに働きやすい時間を選択
・テレワークが日常なので電車での通勤はたまに
・雇用区分による賃金格差はなく均等均衡な処遇
これらが会社員にとっての当たり前になるのだとしたら、なんと魅力的な職業なんでしょう。
と、筆者は思いますが。
まさに理想論ですが、例示した内容の前半はまとめると私的な時間の確保がポイントになっていて、それだけ日本の会社員は時間を会社に費やしているということがわかります。
働き方改革で、今よりも自由な時間を会社員が手に入れ、空いた時間で食事を家族と取る、子供と遊ぶ、趣味を楽しむなど家庭生活の充実が得られる上に、現在と同程度かそれ以上に処遇されるのなら、会社員もやぶさかでないという人は少なからずいると思いますし、もしそうなれば限られた労働人口のうち、会社員をやりたいと考える層を一定数確保できるのではないかと思います。
逆に言うとそうまでしないと多様な選択肢の中で会社員をやろうという人はじり貧です。
まだ時間は掛かると思いますが、いずれ会社員という生き方が、
誰にとっても窮屈でなく
誰にとっても納得性があり
誰にとってもバランスの取れた時間と待遇
を享受できる働き方となることを期待して止みません。
働き方改革については、筆者も人事として率先して社内の制度化などに取り組んで行きたいと思っています。
ただ、理想と現実というものがありますから、別の記事で働き方改革の現実についても書きたいと思います。