こんにちは人事の夏沢です!
企業人事の本音と現実をテーマとしておりまして人事にまつわる様々なことを書かせていただいております。
就活、転職、給与、労務などはそれぞれカテゴリーを設けておりますのでぜひご覧ください。
【筆者について】企業での人事部門を10年以上経験しています。
採用、研修、評価、給与、社保など人事系の実務は網羅。
僭越ながら人事についての経験は豊富であります。
制度設計や企業合併についての人事の実務も経験しています。
別記事で人事異動のポリシーに関することを書かせていただきました。
人事異動には様々な理由や種類があり、その背景を知ることで企業の人事異動ポリシーや人材育成の方針が分かるというものです。
今回は、それに続いて「人事異動の決まり方って知ってる?」というもの。
会社員のみなさんにとっては、多少興味深い部分もあるではないでしょうか。
この記事を読むと普段なかなか知ることのない「人事異動の決め方、決まり方」がわかると思います。
人事異動はどのように決まるのか
人事異動の決め方の順番
・人事が人事異動の素案を作成する。社員個別の在職期間、等級、担当や役職としての滞留期間を把握しているのが人事であるため誰をどこに配置するかについて決める主体は人事であるべきです(人事権のない人事は人事にあらず)
・関係部署や関係者との協議
人事異動の素案が出来上がった後は、各部署の異動についての権限者と人事が相談しながら進めることになります。
つまり、人事異動は人事が一方的に決めているということではないんですね。
なぜかというと
・関係者と協議して決めた方が適切な内容になる可能性が高い
・関係者と協議して決めた方が配置に失敗があったときの逃げ道が出来る(人事の本音の一つ)
起案や発令という人事異動に関わる手続きは人事が行うことになるため人事が独断で人事異動を行うことは可能ですが、通常はやりません。組織的な整合性や納得性、妥協ラインを見極めて人事が調整役となり最終案への道筋を作っていきます。
そこまで進めばあとは権限者による承認でおしまい。
人事異動が難航するパターンを知っておこう
通常、調整段階で権限者とも協議していますので、承認で難航することは少ないですが、途中の調整過程ではなかなか難航する場合もあります。
特に次の様な社員を異動させる場合に難航します。
人事異動が難航するパターン
・仕事がよく出来る人の異動(取られる側が反対する)
・仕事が出来ない人の異動(配置される側が反対する)
・特定の業務に長期間携わっている人の異動(その人に業務がくっついてしまっていて後任に引き継ぐのが大変)
・仕事は通常にこなすが性格に難がある人の異動(人間関係で問題が生じることを懸念され配置予定先から反対される)
少なくとも配置される側に反対されて異動が難航するキッカケになる様な社員にはならないようにしたいですね。
しかし、どの企業にも取扱い注意といったタイプの社員が数名はいます。
これは問題社員の取扱いということで別の記事で書きたいと思います。
人事異動に攻略法はない
さて、
人事異動の決まり方ですが、そういう訳で一部のよく出来る社員、そして逆によく出来ない社員を除き、人事が作る案を基にした関係者協議(トレード会議という程ではありませんが少し近い部分もあります)が行われ、組織強化、業務遂行、育成などの観点からきめられていくのが実態です。
社員個人の意見が入る余地はありませんが、社内の制度により希望を伝えたり、申告したりできる制度がある場合は、その内容が意外と参考にされていたりします。人事も一人一人の社員の異動に理由や理屈を付けていくのは難しいので、社員側からの申告があるとそれが理由の一つとして機能する訳です。
結論として、人事異動の決まり方の実態が分かってもこれを自分の希望どおりに進めたり、攻略できるポイントがある訳ではありません。それでも人事の舞台裏や裏話として知っておくのは企業という組織の一面を理解する上でわるくはないと思います。
ご参考にされて下さい。