こんにちは人事の夏沢です!
企業人事の本音と現実をテーマとしています。
人事にまつわる様々なことを書かせていただいております。
就活、転職、給与、労務などはそれぞれカテゴリーを設けておりますのでぜひご覧ください!
筆者について企業での人事部門を10年以上経験しています。採用、研修、評価、給与、社保など人事系の実務は網羅。
人事についての経験は控えめに言ってまずまず豊富でございますよ。制度設計や企業合併でも人事の実務を経験しています。
そしてとにかく人事の現場を重視しています!
今でも日々、人に関わる様々な課題に直面し、頭から泥をひっかぶりながら人事部門のマネジメントをしております。
綺麗ごとでない企業人事の本音をテーマにした本ブログですが、今回は「自己啓発と資格取得補助」について。
多くの会社に同様の制度があると思いますが、このあたりに関わる人事の本音と現実が分かると思います。
自己啓発に積極的なのはすごいことです
多くの企業に社員の自己啓発や資格の取得を推奨する制度があると思います。
日々の業務に加えて知識や技術を社員に身に付けてもらえい、仕事に役立ててもらえれば企業にとってはありがたいことです。
資格については大きく2パターンあると思います。1つ目は特定の資格、いわゆる士業(弁護士、会計士、弁理士、社労士、行政書士)をはじめ資格所有者でないと業を行うことが出来ないもの、2つ目は知識を有することの客観的な指標にはなるもの。ただし、それがないと業を行えないという訳ではないものです(簿記、〇〇実務検定、英検、TOEICなどの検定)。
士業については、一般の企業における業務の傍らで取得した場合、やがては独立に至るケースもあると思います。
検定試験については、あくまでも自分の知識を広げたり、新たに学んだりといった目的である場合が多いと思います。
この検定資格などを通じて自己啓発を積極的に行う社員は、以下のような特徴があると思います。
自己啓発に積極的な社員の特徴
・新しく学ぶことが好き
・常に何か勉強を継続したい
・日常の業務に飽きており新しいチャレンジをしたい
・日常の業務があまり忙しくないので時間を有効に使いたい
・将来に備えて知識を広めておきたい
いずれにしても前向きな理由であり、空いた時間を学習に使ったり、忙しくても空き時間を捻出して学習に当てることが出来る人ですからこれは凄いことです。
資格取得に対する人事の気持ち
そのように資格取得を含めた自己啓発をしている社員について、人事の視点からは、次のような思いで見ています。
人事の気持ち
・取得した資格や知識を活かして頑張って欲しい
・取得した資格や知識を専門的に活かせる環境を求めて転職する可能性もあるかも
つまり、
社員の性格、ポジション、社内環境により、その資格取得が、社内での活躍を目的としたものなのか、社外に転職するための準備なのかという背反した視点が生じます。
正直に言うと頑張ってすごい資格とか取る社員がいると「え!?退職して独立するんじゃん?」という思いが必ずよぎるということです。これが自然な心理ってもんです。
ただし、どちらであってもダメという意味ではありません。
ただ、後者の転職目的という場合もありますから、企業が社員の資格取得を補助する制度、例えば通信講座の費用やテキスト代を会社が負担してくれる制度や外部のセミナーや研修を会社負担で受講できる制度を利用して資格の取得をした場合は、企業が意図した制度利用にはなっていないということにはなります。
人事担当の筆者の本音としては、正直、会社の制度をうまく利用するのは全然良いと思っています。
福利厚生なんだから遠慮なく利用しよう
給料は労働の対価と言えますが、それ以外で企業側が社員に提供するいわゆる福利厚生については社員が享受して良い訳で、ましてや資格補助については内容が知識などの習得な訳ですから「自社で活かす場合に限る」なんていう縛りが仮にある場合は、まぁ器量が小さすぎます。
社員が将来的に他社に移ろうと別の道に進もうと、自社の社員である間は、最大限その成長を促し、援助するべきです。
社員をしっかり成長させることが出来るような企業こそが、結果として社会的な存在意義や貢献度が高い企業ということなのではないでしょうか。
社員の立場としてはぜひ遠慮せずに
仮に
「近いうちに転職するかも」、
「定年までこの会社にいることはないな」、
「担当業務と異なる資格に興味がある」、
「個人的な趣味として勉強したい」、
「将来に備えて知識を得ておきたい」、
このような本音を持っていたとしても会社の制度ですから、利用出来るうちに利用しましょう。
自発的に学ぶ姿勢は歓迎すべき
自己啓発しようという気持ちがある人は、その企業にとっても、将来別の会社に移ったとしても、その知識や行動が会社や社会に還元されるんだという視点でいればよろしいと思います。
自己啓発の機会が与えられた時に、それを有効に利用したいと思う人と、自分には関係ないと思う人の間に仕事自体のやる気の差があるとは思いませんが、自発的に何かに取り組むという姿勢は歓迎されるべきものであります。
企業はリカレント教育という観点からも多様な社員の成長を応援する機会を作るのが望ましく、社員のうち仕事以外での成長機会が欲しいと思う人は、企業の設ける自己啓発制度を遠慮なく利用してみてください。
成長機会というとちょっと堅苦しいですかね。
そういう意味では、興味や趣味程度でも充分です。
資格や検定は、どんな内容のものであれ専門のテキストや問題集で知識をインプットする時間と労力が必要です。
多くの人は、分からないことはすぐググるという世の中ですから、テキストや問題集と向き合うという時間そのものが減っていると思います。
「調べればすぐ分かるんだからインプットなんて必要ない」という意見も一部聞こえて来そうですが、そうすると極論、社内に専門知識を有する社員が全然いないということになってしまいます。
知識をインプットしたり、分からないことを調べたりする過程で、自分なりの考えや発見が出てくるものです。
それが転じて自分の意見や視点が出来上がります。
社会や組織の中で個性を活かす必要性がよく語られる時代ですから、その1つの選択肢として「自己啓発」って必要なのではないかなと思ったりします。
ご参考まで。
筆者が考える会社員にお勧めする資格や検定試験は、また別の記事で紹介してみたいと思います。